葵祭・路頭の儀を追尾してみました。もちろん、ひとりで。 (1)
葵祭・路頭の儀をフルで追尾してみました。もちろん、ひとりで。
葵祭。言うまでもなく、京都三大祭のひとつです。
夏の祇園祭、秋の時代祭と並んで、春の京都の重要な観光資源でございます。
本名、賀茂祭。上賀茂神社と下鴨神社、両賀茂社の例祭であり、
私の地元の石清水祭・奈良の春日祭と共に、勅使が派遣される三大勅祭のひとつでもあります。
そもそも京に於いて「祭」といえばこの賀茂祭のみを指したくらい、その重要性は高く、歴史も長し。
平安遷都以前から「猪殺して乱闘しまくり」の喧嘩祭として、何度も禁制食らうほどの大盛り上がり。
遷都以降は賀茂社の王城鎮護指定を受け、勅祭化。また都の祭として、洗練化。
特に、御所から社までを天皇の使い・勅使とその行列が華麗な姿で行進する路頭の儀は、
雅な姿がさながらファッションショーの如き人気を呼び、見物人の場所取りで諍いが起こるほどに。
以後、応仁の乱でしばらく途絶したり、明治維新や第二次大戦などによる中断を挟みつつも、
そのたびに何とか復興、戦後は斎王代も導入し、一貫して京の「祭」であり続けてます。
流鏑馬神事・歩射神事・競馬会神事・御阿礼神事・そして御影祭などなど、
単体でも集客力のある神事が並ぶ葵祭ですが、一番の客寄せパンダはもちろん、この路頭の儀。
新緑眩しい都大路に華麗なる王朝絵巻を再現する、全長1キロもの日雇いバイトのコスプレ行列。
しかし着ている衣装は全部本物、下手すると着てる人間より高価だったりするので、あなどれません。
そんな路頭の儀、スタートの御所からゴールの上賀茂神社までは実に8kmに及びますが、
最初から最後まで、徒歩のみで追いかけてみました。何故って、暇だし・・・。
午前9時の京都御所・建礼門前。行列すなわち行粧は、ここから出発します。
場所取りのカメラマンは既にウジャウジャいますが、有料観覧席を含め、人はまださほどいません。
売店をうろついて御所せんべいを買い食いしたり、何故か露店が出てた稚児餅も買い食いしたり
駐車場のナンバーを何となく見たりしながら、スタート待ち。ちなみに車は9割が府外。
で、開始目前になった建礼門前。ご覧の通りの有様です。
言うまでもない大混雑なんですが、何というか、体感混雑度みたいなのは案外大したことありません。
御所は広いですから、逃げようと思えばいくらでも逃げ場があります。
行列は定刻通り、10時半にスタート。
5月5日の賀茂競馬で選ばれた先導役・乗尻に導かれ、警護を担当する検非違使、
続いて両賀茂社が洛外&山城国の管轄区域ゆえ督護の任につく山城使が登場。
いずれも大量の舎人・白丁などのバイトさんを従えています。親玉もバイトかも知れませんが・・・。
あ、左奥の何とも言えない形の傘、山城使の管蓋です。
御幣櫃と衛士、御所車の名を持つ牛車などに続いて現われる、勅使。別名、近衛使代。
近衛中将 or 少将が勅使を勤めたことで近衛使の名が生まれ、その代理ということで、近衛使代。
現代の勅使 = 天皇家より内廷費で雇用されている掌典は、社頭の儀のみ参加。
といっても、こちらの近衛使代も旧公家の後裔の方が担当されてますが。当然、行列中で最高位。
勅使の前後も、旧公家・両賀茂両神社の社家・宮内庁の人々が奉仕されてるそうです。
近衛使代の後、随身・牽馬・風流傘をはさんでついて来た、陪従。頭の葵の葉が、目立ちます。
葵をつけてるから葵祭なんですが、この呼び名が定着したのは案外遅くて、江戸時代以降。
家紋と同じ葵を大々的にフィーチャアしてるのを喜んだ徳川幕府が、資金援助するようになってから。
馬は結構、よそ見したりします。
陪従と内蔵使に続いて、風流傘その2が登場。前の方にいるその1とは、花の色が違います。
風流傘その2は、御幣櫃と勅使をメインとした本列の、最後尾。後にいるのは、斎王代列。
そういえば御所のパレード中、延々と西陣の偉いさんの説明 or 自慢 or 愚痴が響いてました。
いかに凄いか、いかに大変か、いかにもう死にそうか、みたいな。
斎王代列は、トップ画像で腰輿にかつがれてる斎王をメインとして、
命婦・女嬬・駒女・蔵人所陪従・牛車が付き従います。写真は神事を司る役を持つ騎馬姿の駒女。
浮かれるカップル、親子連れ、単独、変な奴など、あらゆる層がグチャグチャに混じった烏合客が、
この辺から一気に盛り上がり、女人列に釘付けとなってます。
斎王代列の後尾につく、女房車と呼ばれる牛車。
本列にも御所車なる牛車がありますが、葵と桂に加えて桜と橘の飾りがつくのが違うそうです。
御所の客は、烏合とはいえやっぱり中高年に寄った感じでしょうか。老人より、中年が多し。
見物に体力がいるからでしょうね。私もこの時点で、既に相当くたびれてます。
建礼門前からまっすぐギャラリーの前を南下した行列は、堺町御門から御所を出ます。
カメラマンがふき溜まるカーブから門の前後のあたりの混雑、エグいです。
御所内は、人間の数も無茶苦茶に多いですが、敷地も無茶苦茶に広いため、移動は極めて楽。
最前列でなければ人圧はかわせるし、記念写真くらいなら芝生でくつろぎながらでも撮れますが、
ここはなかなかに、地獄。そんな地獄を知らん顔でスルーする命婦、そして花傘。
門よりもさらに混雑がエグいのが、丸太町通と河原町通。人の数というより、狭さがエグし。
交通規制は片側のみ+歩行者天国にあらず+横断もあまり出来ない。動けません。
京都の歩道は狭いところが多いですが、御所の周囲は極めつけに狭いので、密集率も高し。
写真は、たまたま横断できた河原町通で撮った蔵人所陪従の後姿。
河原町通にリアル王朝絵巻を展開する、女人列と花傘、そして府立医大の木。
雅この上ないですが、隣の寺町通では行列に先回りしようとする観光客の競歩大会、開催中。
見た目がこんな行列ですが、進行速度、案外速いです。走らないと、先頭に追いつくのも困難。
閉校の憂き目となったバイオなんちゃら = 関西文理学園に、諸行無常の響きを聞く、駒女。
北上して景観がフツーになり、駅などから離れたところになると、客の数は若干減少。
代わって、近所風の人達が増加。「今年は人多いなあ」とか言いながら、ちょっと見て帰る、みたいな。
斎王代でございます。
今年のヒロインは、同志社大4年の方。もちろん、どっかの社長の娘さんでございます。
涼しげな笑みを浮かべてらっしゃいますが、着ている衣装は30kgもあるんだそうです。
で、ず~っと笑みを浮かべるわけです。常時誰かに撮られてるので、息も抜けないのです。地獄です。
出町橋を渡る斎王列の花傘。下鴨神社まではもうすぐです。
路上の観光客の客筋は、中の下という感じでしょうか。タダで観れるものに群がる人たち、みたいな。
震災以来、中国人団体の姿を久し振りに見た気がします。特にこの辺、よく見かけたような。
改めて混みまくり、歩きにくくなった出町近辺。行列は、糺の森へ入ってしまいました。
行列は、下鴨神社で路頭の儀を一旦中座、社頭の儀に入ります。
勅使の祝詞奏上、御幣物奉納、東遊舞奉納、走馬の儀奉納と、本当の意味で雅な神事が目白押し。
正にこの祭のコアなのであります。見たいのであります。でももう、大混雑なのであります。
で、下鴨神社。混んでる以前にゲートは完全通行止めなので、中にも入れないのであります。
まあ最初から見れないと覚悟してたので別にいいんですが、
有料席の前売券を買った人は、チケットあるからと安心せず早めに中へ入った方がいいですよ。
周辺の道では、木の間から行列を見ようとする沢山の人達が、塀にへばりついてました。
とりあえず腹減ったので、飯を食いに行きました。が、店少ないし、どこも人、多し。
みたらし団子屋も当然、行列。さほど美味くもなさそうなラーメン屋にまで、行列。
結局、コーヒーショップヤマモト下鴨店まで歩き、ビザトーストのランチセット880円也を食らいました。
お洒落な店内で全身から塩吹きながら頂いたコーヒーはウマー、ビザトーストはフツー。
京都御所 京都府京都市上京区京都御苑 市営地下鉄烏丸線 今出川駅下車 徒歩5分 京都市バス 烏丸今出川下車 徒歩5分 公式 宮内庁参観案内:施設情報:京都御所 |
下鴨神社 京都市左京区下鴨泉川町 京阪電車&叡山電鉄 出町柳駅下車 徒歩12分 京都市バス 下鴨神社前 下車5分 |