夏越祓の茅の輪をくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。(前編)
夏越祓の茅の輪をくぐりまくってきました。もちろん、ひとりで。
夏越祓。なごしのはらい。6月の晦日に行われる、お祓いです。
正月からの半年間でこびりついた身の穢れを、多くの神社で設置された茅の輪をくぐることで祓い、
疫病の脅威と暑さそのものが本格化する厳しい夏を乗り切ろうという慣わしであります。
元々は701年の大宝律令によって定められた「大祓」という国家的な除災行事だったそうで、
かつては朱雀門前に百官以下天下万民が集まり、国民全ての犯した罪や穢れを祓ったんだとか。
しかし現在ではもちろんそんな大層なことは行われず、
むしろ茅の輪目当てにあちこちの小さい神社を訪問する楽しみが味わえる日となってます。
で、私、この日が暇だったので、穢れに穢れた身を清めようと、市内各社の輪をめぐってみました。
行ってみたかった神社が数社と、あとは適当にその場の気分で足が向いたお社と。
市バスの一日乗車券を買って、でも五十日ゆえか混雑しまくりなので結局大半は歩いたりして、
「みなづきのなごしのはらいするひとはちとせのいのちのぶというなり」と言いまくりました。
あ、これ、茅の輪をくぐる時の呪文です。意味ですか。さあ、何なんでしょうね。
おおむねどこの神社も、人はまばらか無人なので、客層リサーチや気まづさ度チェックは省略。
ひたすら輪をくぐり続ける様、ごらん下さい。
まずやってきたのは、新熊野神社。
混迷を極める都の政情をほっぽり出して、熊野へ御幸しまくった後白河法皇が、
いっそ家の近所に勧請してしまえと、三十三間堂などが並ぶ後白河ゾーンの南に建立した社です。
新熊野神社は、京都駅を出たJRが東山へ突っ込むあたりにあります。
この辺でしか見かけない「JR東大路駅早期実現」の看板が、味です。
「みなづきのなごしのはらいするひとはちとせのいのちのぶというなり」と言いながら、茅の輪をくぐります。
神事の用意らしきことがされてる境内。
「新熊野」と書いて「いまくまの」。ただし、近所には「新」ではなく「今」と書く今熊野観音寺あり。
ちなみにバス停も「今熊野」。ついでに近くの商店街も「今熊野商店街」。
境内で見た、後白河法皇お手植えの大樟さんと、熊野マーク。
そして、御神木苗木プレゼントのお知らせ。興味のある方は、どうぞ。で、お次の神社へ。
今熊野からバスで東山通を北上し、続いてやってきたのは安井金比羅宮。
「悪縁を切り」といきなり書かれてますが、縁切り祈願の恐るべき絵馬で有名な神社です。
前の東大路通にはそれなりに人がいますが、こちらには客少なし。
本殿は現在工事中。白い壁の向こうに見えるのが、茅の輪。
休憩してる工事のおっちゃん達から阿呆を見る目で見られながら、輪をくぐります。
「みなづきのなごしのはらいするひとはちとせのいのちのぶというなり」。
御存知、縁切り縁結び碑。前から通って、後ろからも通って、というあれです。
私は、通りません。切るほどの縁がないからですが、
冗談で通ると胴体を食いちぎ切られそうな気もするからです。
何故か藤子Aっぽいホラーなビジュアルが浮かんでしょうがないんですが、私だけでしょうか。
絵馬コーナーは、お祓いするのが大変そうな邪念があいも変わらず満ち溢れてます。
社名&部署名&子供名まで記載して「この世と縁が切れますように」などと書いてるものもあり、
とにかく怖過ぎ。そそくさと退散して、お次の神社へ。
安井金比羅宮を出たあとはバスで東山通をさらに北上、東山三条で下車して、
東向けのバスがあるといいなと思いながら結局テクテクと歩き、粟田神社へ。
京の七口のひとつ・粟田口の社。かつては感神院新宮と呼ばれ、鳥居の扁額にその名が見えます。
一の鳥居付近は過剰なまでに生活感が漂ってましたが、二の鳥居から奥は緑豊かな神社です。
近くの『こかじ』ランチ3000円の看板を横目で恨めしく見ながら、鳥居をくぐり、坂道をえんやこら。
瞳孔と鼻孔の開いた御神馬が、不毛に疲れた心と体を癒してくれます。
ちょっとした山のてっぺんみたいなとこにある本殿前で、茅の輪をくぐります。
「みなづきのなごしのはらいするひとはちとせのいのちのぶというなり」。
ちょっとした市内展望が開けてるあたりも、味です。
かつてこの一帯は刀鍛冶が多く住み、謡曲「小鍛冶」の三条小鍛冶は有名。
最近では、180年ぶりに復活して津軽ねぶたの原型とも言われる大燈呂や、
山鉾の原型と言われる剣鉾が活躍する秋の粟田祭がつとに注目を集めてます。
写真はその大燈呂。そばで見ると、結構デカいですよ。で、お次の神社へ。
狛鼠で有名な大豊神社に茅の輪があると聞いたので、哲学の道へ向かいましたが、
歩いてる途中、日の出うどんの前を通ると空いてたので、遅めの昼飯。
14時過ぎだからか、私の他には自転車の兄ちゃんと観光のおじさんのみ。
あげきざみカレーうどん、850円也。
いかにも自家製という感じのカレーが、逆に粉っぽく感じるのは、私が貧乏舌だからでしょうか。
え、夏越祓には水無月を食えって。
腹ごしらえも済んだので、改めて哲学の道へ向かいます。
道中、熊野若王子神社へ寄りましたが、茅の輪はありませんでした。
改めて大豊神社へ向かい、哲学の道を北上します。
途中に見かけたバテ気味の招き猫ダック、そしてバテ過ぎて二度と開かないであろう喫茶店。
大豊神社に到着。しかし、ここも茅の輪はなし。ネットで調べたら「ある」って言ってたのに。
狛化け物に「ネットの情報なんか信じるお前がアホなんや!!」と笑われてるようで、腹立ちます。
哲学の道名物・猫。寝てます。自分もどっかに寝転びたくなります。
暑いのにワシ何やってるんやろ・・・急激に脳一杯へ広がる疲労感と不毛感。
しかし、やめるわけにはいかんのです。だってやめたら、何にもならないじゃないですか。
やっても何にもならないのに、やめたらもっと何にもならないじゃないですか。
というわけで、以下、灼熱の後編へと続きます。
夏越の茅の輪をくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。(後編)
夏越祓の茅の輪をまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2012)
夏越祓の茅の輪をまたまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2013)
新熊野神社
京都市東山区今熊野椥ノ森町42
参拝自由
京阪電車 七条 or 東福寺下車 徒歩約15分
京都市バス 今熊野下車 徒歩3分
公式 新熊野神社ホームページ
安井金比羅宮
京都市東山区東大路松原上ル下弁天町70
拝観自由
京都市バス 東山安井下車 徒歩2分
京阪電車 清水四条駅下車 徒歩20分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩20分
公式 安井金比羅宮のホームページ(TOP)
粟田神社
京都市東山区粟田口鍛冶町1
6:00~17:30
市営地下鉄 東山駅 or 蹴上駅下車 徒歩6分
京都市バス 神宮道下車 徒歩4分
公式 粟田神社
日の出うどん 京都府京都市左京区南禅寺北ノ坊町36 11:00~16:00 日曜定休 京都市バス 宮ノ前町下車すぐ 食べログ 日の出うどん 熊野若王子神社 大豊神社 |