京の民宿・大原の里にてぼたん鍋を食べて聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。 【前篇】
京の民宿・大原の里でぼたん鍋を食べて聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。
独男上等を謳う当サイトは、精神的外圧が年間で最も高まるクリスマスに於いて、
世間の馬鹿騒ぎへ真っ向から背を向けるべく、ひとりお泊まり企画を敢行し続けてきました。
が、2013年に地元・八幡橋本の遊郭転業旅館、そして2014年には大枝ラブホ街へ宿泊したことで、
実を言えば思いつき一発で始めたこのネタに突如、 「境界」 なるテーマが浮上して来たのです。
太陽の復活を祝うローマの太陽祭にルーツを持つクリスマスが、そもそも最初から孕む 「境界」 性。
そして、遊郭やラブホ街が、ある種のアジール性と共に極めて直接的な形で含有する 「境界」 性。
この辺のシンクロニシティを見極めることを考えて、私は橋本&大枝を宿泊地に選んだんですが、
橋本&大枝記事がクリスマスカテで並ぶ様を目にした時、別の真実に気が付いてしまったのでした。
これは、陰陽師が配備された平安京のスピリチュアル・ゲート 「四堺」 を押える流れになってる、と。
「四堺」 の 「坤」 即ち南西たる山崎と、橋により接続&その橋が地名の由来となった、橋本。
「四堺」 の 「乾」 即ち北西の峠であり、鬼伝説と共に長く軍事&交通の要衝であり続けた、大枝。
更には、2012年に泊まった町家もまた、 「四堺」 の 「巽 」 即ち南東たる逢坂へ続く三条通の傍。
そうです。私はまるで何かに導かれるかのように、 「四堺」 を時計回りで回っていたのです。
これもまた、 「境界」 の魔力による導きでしょうか。であれば、その導き、乗ってやろうじゃないか。
というわけで2015年の聖夜は、 「四堺」 の 「艮」 即ち北東たる途中峠・和邇を攻めることにしました。
北東は、言わずと知れた、鬼門。 「四堺」 めぐりの最後を飾るには相応しい 「堺」 と言えるでしょう。
ただその為か、困ったことにこの辺、宿が激少。激少というか、そもそも単純に、完全な山の中。
一晩歩き通すのも一興ですが、天候によっては死にますし、猿との白兵戦もない話ではありません。
なので今回は、その手前の大原へ泊まり、ついでにぼたん鍋を食い、英気を養うことにしたのです。
泊まったのは、近年温泉が掘削されて 「大原温泉」 の呼称も定着してる、京の民宿・大原の里。
この風雅な宿にて、獣肉をたらふく食らった上で温泉も堪能し、 「境界」 との闘いに備えたのでした。
そう、これはあくまでも新たな挑戦なのです。当サイトが当サイトである為に必要な挑戦なのです。
決して、過酷な泊まりがいい加減しんどいので、温泉&グルメへ逃げたわけではありません。
断じて、冬場の食い物検索流入も狙い、温泉で駄目押しするわけでもありません。
というわけで、事前に入れた大原の里の予約。12400円のぼたん鍋プランを豪気に予約です。
前年の宿泊費2990円の4倍以上な出費ですが、 「境界」 との闘いに備える為なら安いもんでしょう。
それに、ひとり温泉OK+ひとりぼたん鍋OK+ひとり宿泊もOKな宿は、そもそも他にあまりないですし。
あ、百均サンタ帽は、魔除けです。あと、猪肉へのオマージュです。浮かれてるのではありません。
あ、ひとりがOKの宿があるから大原へ行くんじゃないですよ。あくまでも 「境界」 の為ですよ。
で、イブ当日の13時、京都バスで大原へ。で、チェックインの16時まで、大原を徘徊すること、しばし。
で、バス停から東の三千院方面へ行き、いつも通りというか平日仕様の大原の姿を見ること、しばし。
こんな日は流石に客は少なめかと思ったら、普通に大原な観光客が普通にいたので、早々に退散。
退散する途中、江文神社のことを思い出しました。そう、 「大原の雑魚寝」 の江文神社です。
「四堺」 も鬼門となれば、その手前にも境界性が漂うということでしょうか。暇なので、行ってみます。
手前の野菜&遠くの山を眺め、異常に良い景色だなと思いながら、東海歩道を南下すること、しばし。
それにしても江文神社、遠い。延々歩き、井手町の街並に見入って迷子にもなったので、更に遠い。
やっと参道へ入り、熊出没看板にビビりながら坂道を延々と登って、江文神社、着きました。
『好色一代男』 にて 「みだりがはしくうち臥して、一夜は何事をも許す」 と書かれてた社であります。
実際に乱交してた事実はないらしいけど。妄想&願望喚起力も 「境界」 の魔力という感じでしょうか。
雑魚寝の舞台たる拝殿はログハウス風に化けてて、 「ここでビバークすんな」 看板が立ってました。
アジールの伝説に別れを告げた後、歩き過ぎて16時近くになったので、いよいよ大原の里へ。
車道でショートカットして、大原の里や大原山荘がある大原温泉エリア = 寂光院エリアへ入ります。
寂光院がぼちぼちとクローズなので、人の姿はあまりなし。営業してる店もこの時点で既に、少なし。
コンビニの姿さえ、なし。これはもう、宿へ入ったらひたすら食って寝て、英気を養うしかないですね。
滋養への決意を固めながら、そして穏やかな温泉香を感じながら、到着した、大原の里。
創業40年以上の昔ながらな建物であり、 「隠れ里」 「奥座敷」 な風情を感じさせてくれるお宿です。
そうですよ。私は、ここに泊まるんですよ。特攻とか侵入とかではなく、今回は普通に泊まるんですよ。
手前の看板通りに日帰り入浴も可ですが、私はしっかり泊まるんですよ。もちろん、ひとりでですよ。
堂々と暖簾をくぐった先の玄関では、部屋番号を伝えられ、その番号の下駄箱へ靴を収納。
出しといた予約紙を宿の人に渡し、確認が済むまでの間、玄関のストーブで暖を取ること、しばし。
といっても、この日はかなり暖かかったですが。だからか、評判で聞くような寒さも、全然感じません。
玄関前で売ってる白味噌アイテムやおかき、カップヌードルなど眺めるうち、確認が済み、部屋へ。
で、案内された部屋。普通に6畳の部屋です。オーソドックスな和風の造りの部屋です。
中央に炬燵がセッティングされ、エアコンやテレビもあり、お茶セットやアメニティも用意されてます。
「ひとり客なので庭が見えない部屋へ回されるかな」 と思ってましたが、見える部屋でした。よかった。
何せ、金閣寺出入りの庭師が手入れする庭だそうですからね。ただ今は、紅葉も雪も何もないけど。
とはいえ、まずはお茶セットで、一服。
また、庭も堪能。で、温泉、行きます。
寂光院へ続く小川の横の道を建物の中から眺めながら、通路を延々と歩き、浴場へ。
やたら奥にある浴場へ着くと、大浴場と中浴場を男女交代で使っており、この日は大浴場が男湯。
で、温泉香が漂う場内へ入ると、先客は一名。広さは、民宿と旅館の間程度のサイジングでしょうか。
で、とりあえずゆったり体を洗わせてもらいます。ボディソープなどは、概ね備え付けられてました。
体を洗ったら、浴槽が内風呂と直結してる屋根付き半露天風呂へ行き、しばし、まったり。
大原温泉は、低張性弱アルカリ性低温泉の単純温泉。だそうです。少しねっとりしてると感じます。
半露天で湯質を味わった後は、全裸で石段を登り、少し高い場所にある全露天の五右衛門風呂へ。
暖かい日ではありますが、全裸で歩くと流石に寒く、風呂へ浸かったら丁度良い塩梅になりました。
木の湯口との距離で湯温が変わる、五右衛門風呂。場所を変えながら、浸かること、しばし。
風呂から見える庭は、小さいなりに、風情あり。ただそれ以上に、外の空と大原の山が良いですよ。
空と山の見た目、そして聞こえる自然音が、やはり街中では味わえない醍醐味を感じさせてくれます。
あと裸だと、ここの空気に自然の気配が濃く混ざってるのも、実感。実に良い風呂でございました。
で、部屋へ戻り、浴衣へ着替えて、サンタ帽もかぶって、部屋の姿見で自撮りするの図。
浮かれてるのではありません。明日の苦行に備え、赤帽の魔除け効果を確認しただけのことです。
また、地鶏味噌鍋が本来の名物たるこの宿へささやかな敬意を表すべく、自撮りしただけのことです。
あ、 「浴衣が有料」 とか某サイトに書いてありましたが、普通に部屋にあって、普通に使えましたよ。
で、TVの映り加減を確認してたら、何か似た恰好してる人を見かけて、じっと見入るの図。
浮かれてるのではありません。KBS京都が 『5時に夢中』 をネットしてる理由を考察してるだけです。
また、 「ブスがクリスマス話すんな」 というネタでの志麻子先生の話に、ぼっけえ共鳴してるだけです。
あ、TV、地デジは普通に見れましたよ。BSはどうか忘れましたが、KBSは御覧のようにOKでしたよ。
で、炬燵に入り、買ったDAKARAで水分補給をしながら、夕食までしばし休息するの図。
ダラケてるのではありません。やがて開始される獣肉の宴に備えて、イメトレに励んでるだけです。
野生の猿との白兵戦も発生しかねない途中峠越えの為、より良き滋養の取り方を考えてるだけです。
あ、浴場近くの自販機で買ったDAKARAは、200円。130円のものは、概ね150円で売ってましたよ。
で、前の写真もそうですが適当自撮りで飛びまくってる中、もっとしばし休息するの図。
ダラケてるのではありません。同志が潜んではいないかと、耳に全エネルギーを注いでるだけです。
風呂を上がった頃、丁度17時過ぎから来客が一気に増えたので、その音に耳を澄ましてるだけです。
あ、浴場近の自販機、酒とビールも一応置いてましたよ。フロント前にも、酒ケースがありましたよ。
という感じでダラケ切ってると、18時半頃、夕食の用意が出来た旨のアナウンスが流れました。
が、日本語に続き英語でも放送するのに感心しながら寝返りを打つと、そのまま再び寝入りました。
結局、19時過ぎになって、食堂へ。そう、食事は食堂です。で、部屋番号ごとに用意された席へ着席。
で、席には、鍋。一人用の小さい鍋だろうと思ってたら、フル仕様の鍋だったので、何か恐縮します。
鍋の前には、特製つけだれの小皿、前菜三種盛り、食い放題という白飯の茶碗などがあり。
あ、もちろん大原名物である漬物もあり。これはもう、雑炊&茶漬のW締めを食らうしかないですね。
ただ、いつまで経っても白飯も茶も入れに来ないので、 「?」 と思ってたら、ここはセルフなのでした。
他の客の動きを見て、気付きました。因みに、他の客は大抵二~三人組で、ひとりは私だけでした。
で、とりあえず茶を自分で入れて、鍋の火も入れて、煮立つのを待ちながら前菜を食らう。
前菜は、何らかの和え物、ニシンの甘露煮的な何らか、そして何らかの筑前煮的な何らかの三種。
ぼたん鍋プラン、 「品数は少なめ」 とサイトにはあったので、前菜は温存しようかなと思ってましたが、
実際には野菜の量が全然少なくなく、むしろ多いので、温存を止めて即座&一瞬で食い切ります。
で、こちらがその全然少なくない野菜。直径30cmほどのデカい皿に、山盛りです。大量です。
ラインナップは、白菜・エノキ・シメジ・タマネギ・水菜・もやし・さつまいも、あと小さめのニンジンも。
加えて、太めの蒟蒻に豆腐、うどんも付属。昼食を抜いて臨んでますが、それでも少し、怯みました。
が、この自家栽培されたという野菜が、実に美味かったんですよね。何ならもう、肉を凌ぐ勢いで。
とはいえ、今夜の主役はあくまでも、猪肉。で、来ましたよ、ぼたん肉。
やはり30cmほどの大皿で、出ましたよ。牡丹の花のように美しく並べられて、出ましたよ。
猪肉、花びらのような表面に山椒がうっすらかかってて、美味そうですよ。
この美味そうな肉を、これから食いますよ。全部、食いますよ。ひとりで全部、食いますよ。
では材料を投入するわけですが、その前に、味噌出汁と具材の絡みの具合を見ときます。
といっても、味を厳密に確かめるのではなく、放り込み&放置でOKなタイプかを見る程度ですけど。
味噌は、和風の糠臭い感じではなくピリ辛で、中華的なようで中華でもなく、独特の濃厚さがある感じ。
肉と野菜をちょっとだけ入れて、野菜をちょっとだけ食った感じでは、放り込み&放置でOKかなと。
ちょっとだけ入れた猪肉もちょっとだけ食って、肉の味&味噌出汁との相性を確認。
肉質は、豚肉よりあっさりしてる感じ。固くもなく嘘臭い柔らかさもなく、実に自然な肉の味わいです。
野趣は感じますが、いわゆる臭みは全くなし。味噌で匂いをカバーする必要は、ないかも知れません。
「白出汁でもいけそうな」 とか思ってたら、大原の宿には 「山椒ぼたん鍋プラン」 もあるそうですよ。
ガッツリ放り込んでもOKと判断し、一気に肉と野菜を投入。煮ながら、食いまくります。
ひとり鍋ばかり食ってる奴は煮方が雑と思って頂いたところで、クリスマス in ぼたん鍋、前篇終了。
後篇では、次々新たな表情を見せる鍋と、新規投入した獣肉、〆に潜むトラップと死闘を展開します。
そして、真のミッションである途中峠・和邇への出発に至ります。必ず、至ります。絶対に、至ります。
京の民宿・大原の里にてぼたん鍋を食べて聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。 【後篇】 へ
京の民宿・大原の里
京都市左京区大原草生町31
京都バス 大原下車 徒歩約15分
大原温泉の湯元・京の民宿 『大原の里』 – 公式