平安神宮・紅しだれコンサートへ行きました。もちろん、ひとりで。
平安神宮の紅しだれコンサートへ行ってきました。もちろん、ひとりで。
紅しだれコンサート。
毎年4月上旬に、平安神宮の神苑で開催されるコンサートイベントです。今回で23回目。
春になれば南神苑を天蓋のように覆う名物・紅しだれ桜、そのライトアップを存分に堪能してから、
招聘されたミュージシャンによる演奏もこれまた存分に楽しむという、実に結構な催しであります。
が、このイベント、料金が高い。2000円。前売りならもうちょっと安いですが、基本、こんなもん。
もちろん、一般のコンサートと比べたら、全然安い値段です。
料金には通常600円の神苑入苑料も含まれるので、実質的な値段は更に下がると言えるでしょう。
でも、何か、抵抗あるなあ。敷居が高いというのもあるけど、それ以上に何か、抵抗あるなあ。
好きなミュージシャンなら万々歳だけど、何かなあ、知らん人、多いもんなあ。
見方を変えたら、普通のライトアップにおまけがついて2000円だもんなあ、きついなあ。
と思って、当日まで金払って観る気は全くなかったんですが、
その日の昼間、都をどりがすんなり観れたことで何か、心がちょっと浮き足立ちまして。
「看板と壁と漏れてくる音だけでネタにしてやろう」という心積もりで応天門まで行ったら、
勢いでチケット買い、特攻してしまいました。
ライトアップされた、夜の平安神宮。
2000円は伊達じゃない、そう宣言するかのような荘厳かつ通俗的な輝きを放ってます。
チケットは、ほんのちょっとだけ並んで、あっさり購入。
神苑入口の門をくぐると、現われるのは南神苑の幻想的な八重紅しだれ桜。
植治こと名匠・小川治兵衛の作庭、といいたいところですが、ここは確か戦後に整備された庭。
小雨が降ってて足元があやうく、あんまり桜に見入ってると池に落ちそうで、怖いです。
平安神宮の桜をこよなく愛した谷崎潤一郎は、
「忽ち夕空にひろがっている紅の雲」を一年待ち続けた、と『細雪』に書き残しています。
今夜はさしずめ、「夜の闇を覆い隠すピンクのギランギラン」というところでしょうか
里帰りの桜の名も持つ、平安神宮の紅しだれ桜。
もともとは京都の近衛家の邸内にあった糸桜を、津軽藩主が地元へ持ち帰り、仙台へ移植。
その桜が、平安神宮創建の際に仙台市長より苗木を寄贈され、里帰り。いい話ですね。
桜の下でひっそりと埋もれたN電にあいさつして、ボチボチとコンサートへ向かいます。
どうでもいいことですが、苑内は一方通行。
逆行したい場合は一度斎館わきの特設出口で再入場券を発行してもらい、入り口から入りなおし。
面倒くさいですが、暗いし狭いし水あるしで、そうしないと危ないんでしょうね。
コンサートの会場は、東神苑。すでにスピーカーからチラホラと音が聞こえ始めました。
小雨が降る中、栖鳳池ぞいの小道を移動するの図。何かもう、美しさが異常の域に入ってます。
琵琶湖疏水を活用した栖鳳池に浮かぶ、貴賓館こと尚美館。こちらは、正真正銘、植治の作庭。
尚美館は、植治の作庭に合わせる形で、京都御所より下賜された建物を配置。
ライトアップされたしだれ桜と貴賓館、その光を水面に映し出す防火用水でもある池水、
そして両者を写すデジカメ。実に幻想的です。
コンサートの舞台はもちろん、貴賓館の中。
池の対岸から水を挟み、ぐるっとステージを囲む形で眺めることになります。
この日の出演者は、ピアニストの村松崇継さん。
16歳でデビュー、ソロ活動はもちろん、映画やドラマの音楽も多数担当されてる、凄い方です。
この日も、オリジナル曲に加えて『クライマーズ・ハイ』など担当作品の楽曲も演奏。
才能あり過ぎる人特有の語り口ではありましたが、曲の合間には軽妙なトークもこなしてました。
事務所が山下達郎のスマイル・カンパニーなのも、実力が伺えますね。
こちらも植治の作庭に合わせる形で御所より移築された、橋殿・泰平閣。
木造寄棟重層造り総桧皮葺の実にやんごとなき建造物ですが、雨なので、人が密集。
この写真は空いてる時に撮りましたが、コンサート中は近寄るのも難しい、芋洗状態。
で、その芋洗状態。私の真ん前へ割り込んできたのは、●都新聞のカメラマン。
トップ中のトップであるプロにアングルを横取りされるなんて、実に光栄であります。
あ、ちなみにこのコンサートの主催者、京●新聞です。
コンサートは、40分程度の2ステージ。これで2000円は、悪いけど何かなあ、と。
多くの場所で、木がステージを見る邪魔をするんですよね。まともに見える場所、結構少ないです。
で、客席なしの総立ち見。晴れならいいですけど、雨だとなかなかにしんどうございました。
20時過ぎ、2回目のコンサートも終了。
見るもの見て、聴くもの聴いたので、帰ります。
入場料金を反映してか、全体の平均年齢は高し。加えて、そこそこ金持ってる感じも、強し。
老若カップルと老若女グループがメインで、色気垂れ流しや狂騒的なムードはありません。
そもそも、はしゃぎがちなタイプのグループや人員(男性グループや混成グループ)が絶無。
観光テイストは比較的薄く、地元あるいは近郊の人が多い感じ。
良い客筋です。良い客筋なんですが、それがひとりものにとって居心地良いかというと、どうかと。
どちらかといえば、いや明らかに、居心地は悪い。しみじみと、場違い。
烏合感がなく、フラットに「まともな人」ばかりなのが、孤独かつ不審な人間には冷たく沁みます。
そんな平安神宮の紅しだれコンサート。
好きな人と観たら、より紅しだれなんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅しだれです。
【客層】 (客層表記について)
カップル:3
女性グループ:1
男性グループ:0
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:2
(団体というより家族連れ風が多い)
単身女性:0
単身男性:0
【一人の気まづさ度】
★★
そんなに悪条件が揃ってるわけでもないのに、
非常に居心地が悪い。
【条件】
平日金曜 18:30~20:20
平安神宮 京都府京都市左京区岡崎西天王町97 市営地下鉄東山駅下車 徒歩10分 京阪神宮丸太町 or 三条下車 徒歩15分 市バス京都会館美術館前 下車すぐ 公式サイト Heian Jingu Shrine / 平安神宮 Wikipedia 平安神宮 紅しだれコンサート 公式サイト 平安神宮紅しだれコンサート |