石清水八幡宮の夏の夜間特別拝観へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
石清水八幡宮の夏の夜間特別拝観へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
「そうだ 京都、行こう」 。
「人の住んでる所を、そうだ呼ばわれすんな」 と言いたくなるこのフレーズが、
JR東海による新幹線の広告キャンペーンに使われるようになり、もう20年もの時間が経ちました。
東京から2時間というタイム感を、 「そうだ」 という無礼千万な一言を用いて表現したことで、
より京都旅行をカジュアルに、そして気軽にリピートさせることにも成功した、「そうだ 京都、行こう」 。
古典的なパックツアーを、行き先だけちょこっと目先を変えて 「上質」 なるものに化けさせ、
おかげで狭い寺に大量動員をかけ、無茶苦茶な混雑を生んだりもしてる、「そうだ 京都、行こう」 。
自分で勉強したり調べたりするのは面倒だけど、 「私だけのお気に入り」 の京都は欲しい。
知性を圧迫してエゴだけが膨張した消費者の、そんな勝手極まるニーズにもしっかりと応え続け、
京都もまた奥が深いがゆえに、無茶な注文に対応が出来てたキャンペーンなわけです。
しかし、さすがに20年もやってるとネタ切れとなったのか、「そうだ 京都、行こう」 、
遂に私の地元である石清水八幡宮にまで、その魔の手を伸ばしてきました。
「まあ神社自体はそれなりに大きいけど、それ以外は特に目ぼしいスポットは、ないぞ」
「女子供に受けがいいメシ屋やスイーツなんか、全然ないぞ」 「夜なんかもう、ゴーストタウンだぞ」
と、地元民としては思うことしきりだったりするんですが、そんなのは全て、杞憂でした。
石清水八幡宮、従来は石清水灯燎華で3日間しか行われなかったライトアップを、
キャンペーンと提携した 「夏の夜間特別拝観」 として、7月中旬から8月末まで、1ヶ月半も開催。
地元商工会も、これを機に観光客を呼び込もうと、特設ステージやイベントを用意。
「私のお気に入り」 になることを、目指すというわけです。鳩が、鷹になろうというわけです。
そんな地元の奮闘、 「絶対無理じゃ」 と思いながらも、観に行ってきました。
京阪で八幡を訪れた人を出迎える、奈落への隙間。
八幡市駅はかなりなカーブ上に立地するため、電車とホームの間が思いっきり開いてます。
20~30cmくらいでしょうか。赤ちゃんとかなら、余裕で底の線路へ落ちてしまうかも知れません。
電車を降りる瞬間から、八幡は既に始まってるのです。ようこそ、私のホーム、八幡へ。
「そうだ」 の波を受け、盛り上がりまくってる、18時の八幡市駅前。
米粉パン屋や駐輪場など、感度の高いショップが目の肥えた 「そうだ」 客を出迎えます。
左の 「ふれあい館」 では、京阪特急のシートが買えるという、誰もが大喜びのイベントを展開中。
あ、でも奥の朝日屋は、ちょっと高価いけど美味いですよ。この辺でメシを食うなら、ここ。
ケーブル駅前の、盛り上がりまくってる、特設ライブ会場。
といっても、観客全員が透明人間というわけではなく、単にリハ中のようですが。
アマチュアバンドを市内外から募り、賞金10万円を賭けて争う、ライブコンペ。開始時間は、知らん。
この日出てたのはGSのコピーバンドで、 「ブルーシャトー」 のハモりを、リハってました。
で、ケーブル駅。入口には、看板&エジソン絡みの竹オブジェ。
ケーブルの山上駅では、 「そうだ」 との連携企画として、提灯の無料貸出を実施してます。
しかし、往復券を買った人しか貸してくれないので、私も400円の往復券を自販機で購入しました。
ちなみに夜間拝観の終了は21時半、ケーブルは22時まで15分ヘッドで延長運転中。
で、ケーブル車内。乗車率は、9割ほどという感じでしょうか。
最初は半分ほどの入りでしたが、発車間際に 「そうだ」 ツアー客が大量に乗り込んできました。
200m弱の山を登る路線ながら、鉄橋は何故かケーブル界日本一の高さを誇る、男山ケーブル。
陽があるうちは周囲の自然が楽しめますが、夜は夜で京都市街の夜景が見えたりします。
到着した山上駅では、提灯ではなく虫除けスプレーの貸出をやってました。
提灯貸出、19時から行うそうです。現在、18時半。確かに、まだまだ全然暗くありません。
駅を出て、本殿へ。山上駅は本殿のちょうど真後にあるため、南総門までは結構、歩かされます。
緑豊かな、石清水八幡宮。当然、蚊、多し。虫除けスプレーは、ちゃんとしときましょう。
神苑に着いても、空は暮れる気配がなく、ライトアップも19時から。
なので、暇つぶしを兼ねて休憩所・石翠亭へ入り、新メニューという白鯉うどんを食いました。
デカめの器に盛られた、味の希薄な白味噌 or 豚骨に胡麻油を入れたようなスープと、うどん。
その上には、やはり味の希薄な巨大油揚げに、梅干。これで舌代、800円。う~む。
白鯉うどん、見た目も味もかなり来てましたが、由来もまた、来てます。
雨がシトシト降り出した日曜の午後、山の中腹の用水路で身動き取れない鯉を助けてやると、
その日の夜に石清水の神官と話す夢を見て、その神官の顔が鯉になり、瞳が真っ赤だった、と。
で、「それで生まれた商品です。¥800」 。スピリチュアルうどんという感じでしょうか。う~む。
うどんを食ってるうちに19時になったので、提灯を借りにまたケーブル駅へ。
ツアー客到着と同時に、職員が 「1グループ1つでお願いします」 と連呼しながら貸出開始。
それに混ざり、私もゲット。貸出は往復客のみという話でしたが、切符を確認する様子は特になし。
私が切符を見せたら、「切符は下で回収します」 と、思いっきりスルーされました。
提灯、片面は石清水の神紋ですが、裏には 「そうだ」 のロゴ。恥ずかしい。
電池を仕込んだ柄に提灯をひっかけ、その中へ電線で電球を垂らすという仕掛けです。
柄と提灯のジョイント部分がすぐ外れるので、あちこちで 「バサっ」 という落下音が聞かれました。
もちろん私も、やらかしましたよ。というか、片手だと写真が撮りにくくてしょうがありません。
また神苑に戻ったら、また暗くないので、研修センターへ寄ってみます。
勅祭・石清水祭の際には、勅使の宿所・勅使斎館となり、参列者の仮眠所にもなる建物です。
中では、奉納された宝剣などの展示や、土産物販売、松花堂弁当を出す食事処なんかも営業中。
無料休憩も、一応、OK。ロビーのふかふかソファに、タダ客がふんぞり返ってました。
そろそろ絵になるかと思ってやってきた、19時半の石畳参道。まあまあですな。
周囲には 「うわ~」 「これか~」 と、自分を無理矢理景気付けるような歓声が、溢れてます。
それにしても写真、撮りにくい。暗い上に片手なので、撮りにくい。なので提灯、返すことにしました。
返却先は、ケーブル駅。持って帰っては、いけません。捨てて帰るのも、いけません。
またまたケーブル駅へ戻り、ツアー客にまぎれて提灯を返却、
またまた神苑へ来ると、ボーイスカウト像が不毛な徒労に 「ご苦労」 と敬礼してくれたの図。
背後に並んでるのは、「ほんまもん・京みやげ広場」 と題された、出店ゾーン。客は少ないですが。
ラインナップは、大安や豆政といったベタな京都定番系と、かき氷とかの屋台などなど。
さて、20時を過ぎて、やっとこさ周囲が暗くなりました。
以下は写真の羅列で、幽玄なる美を誇る 「やわたのはちまんさん」 を楽しんでもらいましょうか。
まずは、封鎖された近道階段に置かれた、版画のライトアップ。
「そうだ」 客が「何か唐突」 とか言ってた、エジソン記念碑。
今回はドクロベエなしで、代わりにバックの竹をライトアップ。猫が番をしてました。
「何か怖い」 という声続出、血の色に染め上げられた、三の鳥居。
同じく血の色に染め上げられた、 「勝負石」 こと一ツ石。
青光りする石畳の参道と、かつて林立していた宿坊から集められた石灯篭。
滑走路のような参道の先に立つ、南総門。そしてその手前の手水所。
トップ画像に使ったけど、もう一発ドドーンと、南総門。
こちらもドドーンと、本殿の車寄、ではなく楼門。
正面から撮ったらバチが当たるので止めといた方がいい本殿と、
本殿に尻を向けないよう微妙に曲がる参道に照らされた、スピリチュアルな何ちゃら。
本殿東側、500円かかる本殿特別拝観の入口。
金が惜しいからスルーしましたが、内容は石清水灯燎華の時と、多分同じでしょう。
築地塀、通称・信長塀も、ライトアップ。
極彩色の化け物彫刻も、ライトアップ。
虎の行灯も、ライトアップ。そして本殿裏の摂社前も、ライトアップ。
で、拝観終了。青の色身が強めなのは、お化け屋敷でもイメージしたんでしょうか。
そういえば 「そうだ」 、CMに子供を使ってたな。「境内に入ると、子供が黙った」 みたいな。
現実にはそんな餓鬼、いません。あと、子供なら本殿より山の中をうろついた方が、絶対楽しいぞ。
私も子供の時、そうしてました。その方が勉強になって、立派な大人になれます。いや、嘘です。
21時過ぎに出店ゾーンへ戻ると、ほとんどの店が終了してました。
かろうじて開いてた走井餅の店員と目が合い、「 どうぞ 」 とか言われたので、アイス購入。
山麓の本店では、かき氷に走井餅をブチ込んだ強引なる 「走井餅しぐれ」 を推してるようですが、
こちらの抹茶アイス350円は、餅が入ってるということはなく、割高ながら、美味。
何故か完備されてる体育館から響き渡る剣道の練習声を聞きながら、
ケーブル駅へまたまたまた帰ってくると、待ち時間があったので、駅の上にある展望台へ。
京都市街の夜景が望めますが、年越し記事でも書いてる通り、手前の木が邪魔なんですよね。
なので、望遠絵。夜の京都タワーを望む。真下の歪んだ物体は、やはり京都駅でしょうか。
で、ケーブルに乗り、山麓の八幡市駅へ。
ケーブル、「乗客がいなければ運転しません」 と書いてましたが、車内は7割の入り。
降りた客の大半は 「電車の駅、目の前だ」 とか言いながら、京阪電車へ乗り換えていきました。
皆さん、八幡を 「私のお気に入り」 に加えていただけたでしょうか。私は正直、今イチです。
客層は、基本、「そうだ」 系。
9割方が観光系で、半分が遠来、残り半分が近隣系という感じ。
ネイティブテイストはほとんどなく、今まで石清水八幡宮のどの神事でも目にしなかったような、
消費者根性丸出しな感じの方ばかりが、大挙してやって来ます。
カップルは、若干多め。ですが、中年夫婦の方が、ちょっと多い感じでしょうか。
色気的に盛り上がれるものが何も無いので、そっち方面のプレッシャーはさほどでもありません。
家族連れも多いですが、こちらもネイティブ系というよりは、完全に消費者系 (何だそれは)。
「来てよかった」 と自分に言い聞かせるような言葉が、あちこちで聞かれます。
単独は、男はカメと、かなり真なる独者。女は、ディープなのが超微量いるくらい。
人圧は、空いてるとは言いませんが、混んでる感じもありません。
そんな石清水八幡宮の、夏の特別夜間拝観。
好きな人と行ったら、より 「そうだ 京都、行こう」 なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、 「そうだ 京都、行こう」 です。
八幡駅近観光をやってみました。もちろん、ひとりで。
八幡ナイトウォークをやってみました。もちろん、ひとりで。
【客層】 (客層表記について) カップル:2 女性グループ:1 男性グループ:微 混成グループ:微 子供:0 中高年夫婦:3 中高年女性グループ:1 中高年団体 or グループ:3 単身女性:微 単身男性:若干 |
【ひとりに向いてる度】 【条件】 |
石清水八幡宮
京都府八幡市八幡高坊30
通常拝観 だいたい6:00~18:00
京阪電車八幡市駅下車 男山ケーブル乗り換え
男山山上駅下車 徒歩約5分
ひたすら階段の場合は、徒歩約20分
石清水八幡宮 – 公式
石清水八幡宮 – wikipedia
2013年夏 親子で歩く
「はちまんさんの夏、京都の学び旅」
– そうだ 京都、行こう