霊鑑寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2014年11月27日(木)


霊鑑寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

「霊感って、あった方がいいのかも知れない」 と思ったのは、
ずっとずっと昔、叡山電車で客層をリサーチする日雇いバイトをやった時のことでした。
ペアを組んでやる仕事だったんですが、私の相方は四国から来たというDQN上がりの兄ちゃん。
私は、出身地のガラの悪さゆえDNQ耐性があり、割と気さくに接してたつもりだったんですが、
兄ちゃんは何か私に接し難そうで、気まずい沈黙が続いた後、おもむろに霊感話を始めたのです。
同類と見込まれたのでもなく、またオルグでもなく、単に話題が無いから話してるのは、明白。
申し訳なく思った私は、一応 「ですよね・・・」 的な相槌を打ってたんですが、同時に思ったのでした。
霊感は使える、と。適当な距離感を保ちながら、妙な親密さをも生むこの霊感は、使える、と。
素性の知れない独男同志が、短時間の内にある程度の親密さをなるべく当たり障り無く醸成できる、
寝技 or 腹芸的とも言えるコミュニケーション・ツールとして、霊感を少し考えたみたのでした。
独男の 「寝技」 といえば、床屋軍談から宮崎駿の悪口まで、何かと不毛なものになりがちです。
しかし、最初から不毛というか実体が無い霊感は、案外いいツールになり得るんじゃないでしょうか。
というわけで、話は霊鑑寺であります。 「霊感寺」 などではなく、あくまで霊鑑寺であります。
「忍」 の帝・後水尾天皇より山号&寺号を勅許されると同時に、皇女皇孫が次々と得度入寺し始め、
維新へ至るまでに5人の皇族が入寺した、臨済宗南禅寺派の尼門跡寺院・円成山霊鑑寺。
そんなロイヤルな尼寺に対して、霊感がどうこうなどと駄洒落るなど、不敬極まる話ではありますが、
でも、ここの本尊は霊感、もとい霊鑑 = 鏡を持ってるんだから、まあいいじゃないですか。
それに、この寺の名物である御所人形は霊より恐い顔をしてるので、まあいいじゃないですか。
などと書けばさらに不敬極まりますが、とにかくそんな霊鑑寺、普段はロイヤルゆえ拝観は謝絶。
ただ、後水尾天皇遺愛の日光椿が咲く春と、紅葉が見事な秋には、特別拝観を実施。
というわけで今回は、霊ではなく紅葉を観賞に行ってきました。


白川通から真っ直ぐに東進し、哲学の道を華麗にスルーして、霊鑑寺へ着いたの図。
そう、霊鑑寺は哲学の道を途中で東へ曲がった先にあります。カボチャ供養の安楽寺の、ほぼ隣。
白川通にはそれなりに観光客がいて、大型バスも多数停車中。哲学の道の混雑は、言うまでもなし。
平日昼間ゆえ、リュック背負った年寄りが多いですけど。無論、妙な和装の若い奴も、しっかり多し。


硬質な構えの門+石段、そしてチラっとウェルカム紅葉。禅にして雅なテイスト、効いてます。
霊鑑寺の寺号の元となった霊鑑を持つ観音像は、元々ここより先の山中にあった如意寺の本尊。
南北朝の戦乱により如意寺は荒廃しますが、江戸期に入り御水尾天皇が夢でこの寺の再建を感得。
霊鑑寺尼門跡として再建され、「鹿ヶ谷比丘尼御所」 「谷の御所」 の呼称も生まれたわけです。


霊鑑寺、先述のように、そして御覧の張紙が示すように、普段は拝観を受け付けてません。
さすが尼門跡ですが、そんな尼門跡にも物品や宗教の押売りをやらかす輩がいるのでしょうか。
戸の裏の受付で拝観料を払い、中へ。門前を通る人の数に比して、入る人はさほど多くありません。
思ってた以上にバキッとした禅風味が効いてる伽藍に、男心をくすぐられつつ、でも目は紅葉へ。


で、間近で眺める、菊紋鬼瓦とウェルカム紅葉。


庭園へ誘う、禅風味の硬質な門と、チラ紅葉。


池泉観賞式庭園、何らかの灯籠、そして紅葉。


チラ書院、チラ本堂、人間、そして紅葉。


建て込み加減が異常に男心をくすぐる本堂と、紅葉。


少し坂を登って振り返れば、庭園。


もう一度振り返れば、燃え上がるような紅葉に包まれた、本堂の天辺。


やはり異常に男心をくすぐる本堂への坂と、紅葉。


坂を登った先から眺める、本堂と、紅葉。


本堂の屋根には、紅葉の落葉と、菊紋鬼瓦。


陽の当たるポイントでは、もうライトアップ状態の、紅葉。


ボランティアおばさんがあれこれ説明してくれた本堂前と、紅葉。


坂を登り切ったところにある何らかの蔵と、落葉に包まれた何らかの門。


何らかの門を落葉に包ませた、紅葉。


順路の先には、見事過ぎるコンディションの紅葉の大木。


その手前にも、見事過ぎるコンディションの紅葉の大木。


落葉でさえコンディションのが良好に観える、紅葉。


近くに寄って観れば、本当にコンディションが良い、落葉。


あまりの紅葉で、ほぼ呆然としながら順路を進んだ先には、休憩所。


単なる休憩所なので、さらに濃厚に紅葉に呆然になれる、休憩所。


濃厚に呆然になった後、また呆然にされる、紅葉の大木。


フラフラと坂を下りながら横目で観た、見事な落葉 on 見事な苔。


坂を下りた先には、瓦と落葉のアクセントが効いた、第2休憩所。


第2休憩所の目の前には、またも濃厚に呆然になれる、紅葉。


見事過ぎて卒倒しそうになる、手水鉢、そしてその水面に映り込む紅葉。


紅葉にクラクラして思わず頭上注意な、書院と本堂の渡り廊下。


その渡り廊下へ上がりこみ、本堂で霊感、じゃなくて霊鑑を持つ観音像にお参り。


で、後西天皇より賜った御所旧殿の御休憩所&御番所を移築したという、書院へ。
狩野元信円山応挙による襖絵や、歴代天皇遺愛のアイテムの数々が多数残る場所であります。
ボランティアか何かのおじさんが常駐していて、 「皇族とはこのように一部屋はさんで謁見した」 とか、
「その部屋は格子天井」 とか、 「その盥は着物の裾を留めるのが付いて」 などを聞くこと、しばし。


で、霊鑑寺名物lの御所人形。ビジュアルが無いのが残念ですが、不気味であります。
いや、あまり不気味不気味といえば不敬極まるというものですが、それにしても不気味であります。
単にグロテスクだったりするのではなく、明らかに雅なラインを持つ人形なのに、何かが不気味という。
下衆の民たる私からすると、見てるだけで何故か息苦しくなるようなこの感じ、一体何なんでしょう。


とか思いながら書院を出て、 後水尾天皇遺愛の日光椿の樹をよくわからんまま眺め、
トイレ近くにある御朱印授与所の紅葉 = ウェルカム紅葉をもう一回ありがたく拝んだ後、退門跡。
日が良かったのか、あるいは常時こんな感じなのかは知りませんが、とにかく素晴らしい紅葉でした。
先述の通り、伽藍も男心をくすぐるんですよね。霊感が増すかどうかは、無論一切不明ですけど。

客の大半は、中高年。かつ、ごくオーソドックスな観光客。
ベッタベタな団体はいませんでしたが、いても不思議は無い雰囲気というか。
夫婦風、おばさん同志、そして何らかのグループは、烏合的に揃ってウロウロしてました。
マナーは、普通。良くも悪くもなく、のんびりテイスト。さほど混んでないからでしょうか。
カップルは、はしゃいでるのが1組いただけ。他に若者らしき姿は、ほぼなし。
このカップルも、恋愛&観光ハイというより、大して面白くないから無理矢理はしゃいでる感じ。
穴場を求めてテンパってる奴や、解説や実況をする輩の姿も無く、雰囲気は穏やかです。
単独は、女は普通の観光おばさんと若い女。男は、私と観光親父がいるくらいでした。

そんな霊鑑寺の、紅葉。
好きな人と観たら、より霊感ではなく霊鑑なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、霊感ではなく霊鑑です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:0
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:3
中高年女性グループ:3
中高年団体 or グループ:3
単身女性:若干
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★★★
色気的にも人圧的にも、プレッシャーは無い。
若干狭いが、それも紅葉の密度感を逆に上げてくれている。
よほど運が悪くない限り、いい紅葉が楽しめるだろう。

【条件】
平日木曜+紅葉盛り 13:40~15:00


霊鑑寺
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町12
春+秋の特別拝観以外、通常非公開

京都市バス 錦林車庫前下車 徒歩約5分
市営地下鉄 蹴上駅下車 徒歩約25分
京阪電車 神宮丸太町駅下車 徒歩約30分
 

霊鑑寺 – 京都観光Navi