伏見桃山城へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2015年4月2日(木)


伏見桃山城へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

再生産への強い欲求を示す数多くのエピソードを残しながらも、
その欲求の報われなさ加減に、ある種の 「呪い」 の存在さえ考えたくなる、豊臣秀吉
実子かどうかも怪しい実子・秀頼など、遺された豊臣宗家が辿った末路の悲惨さは言うに及ばず、
バカスカ建てまくり桃山文化を築いた豪華絢爛たる建築物もまた、その多くが現存しません。
無論それら建築物の破壊は、極めて現実的な政治的都合に左右された結果の場合が大半ですが、
中には、聚楽第のように存命中の秀吉自身が半狂乱で地上から完全抹殺したものもあったり、
昭和期まで生き残ったにも関わらず火災で焼失してしまった方広寺の大仏みたいなのもあったりと、
その 「跡」 の残らなさ加減は、何かの魔力、それこそ 「呪い」 の存在を勘ぐりたくなるほどです。
聚楽第&方広寺大仏の消滅が示す通り、京都はその 「呪い」 の傾向が異様なまでに顕著であり、
町を改造されて怒り心頭の町衆や、洛外へ強制移転させられて恨み骨髄の寺の坊主たちが、
1000年単位の呪いを集団でかけたんじゃないかとか思ったりするんですが、あなたどう思いますか。
で、今回訪れた伏見桃山城もまた、そんな 「呪い」 が作用してると思えてしまうスポットです。
秀吉が死した城・伏見城を、名城のエッセンスを寄せ集める形で昭和期に再建された、伏見桃山城。
築城された当時は近鉄電車が管理を行い、城の隣には 「キャッスルランド」 なる遊園地も開園、
城と一体化したレジャー施設としてそれなりの存在感を示してましたが、90年代以降は競合で苦戦。
結局、2003年に 「キャッスルランド」 が閉園し、ついでに城の管理も近鉄は放棄&京都市へ譲渡。
城の解体は何とか免れましたが、耐震性に問題があり、対策費用を捻出できないことも発覚し、
現在は内部への出入は完全禁止となり、昭和元禄の遺産としての存在感を日々増してます。
これはもう、 「呪い」 です。再建であっても、秀吉ゆかりの建造物は、京都では生き残れないのです。
と、適当過ぎる冗談はともかくとして、この昭和遺産に於いて近年良い感じで咲いてるのが、桜。
「呪い」 に対抗して秀吉の遺恨が作用したのか何なのか、大量の桜が見事に咲くようになりました。
あるいはその美しさもまた、城が孕む破滅の予兆に感応してのものかも知れませんが、
「夢の跡」 を模した 「夢」 の抜け殻に咲く夢、とにかく観てきました。


伏見桃山城の最寄り駅は、京阪&近鉄の丹波橋駅。何せ、元・桃山駅ですからね。
ただ、城へ行くなら大手筋を歩くべきと思い、大手筋商店街に直結する隣の伏見桃山駅で、下車。
昔はこの辺に城行きバスの乗り場があったなとか思いながら、倍ほど遠回りの坂道を歩き始めます。
途中、伏見城・大手門を転用した御香宮神社・表門を横目で見て、城の残り香を感じること、しばし。


JR奈良線の桃山駅を越えて、桃山御陵の入口がはっきり見えてきたあたりで、左折。
結構な構えの家が並ぶ高台のきつい坂道を、不審者丸出しの風体でくねくねと歩いて行きます。
キャッスルランドが健在の頃は、この坂もバスでスルッとスルーできたんでしょうか。諸行無常です。
また、沿道の物件看板に書かれた地名にも、妙な諸行無常を感じたりしながら、歩くこと、しばし。


20分ほど延々と坂道を登り続けた末に、伏見桃山城運動公園ゲートへやっと到着。
そう、京都市へ譲渡された伏見桃山城は、公園になったのです。なので、入場料は不要なのです。
現役遊園地時代の残り香がどうにも残り過ぎてるゲートではありますが、大丈夫、無料で入れます。
尤も、このゲートを主に使うのは車であり、奥に拡がる駐車場が無料かどうかは、知りませんけど。


車ゲート横の歩行者入口から奥へ進むと、大徳寺506世・小田雪窓による城名碑、あり。
この城の再建を始めたのは、実業家・中野種一郎を筆頭に設立された、桃山観光開発株式会社。
リアル伏見城は御存知の通り、明治天皇陵となったので、城の旧・御花畑山荘の地にて再建を決定。
つまり、ここですね。台風や資金難などで工事が一時中断したものの、1964年、竣工に至りました。


城名碑の横には無論、 「秀吉ランド」 とでも呼びたくなる風味の堂々たる城総門、あり。
リアル伏見城は、城の本体のみならず資料まで抹殺されたのか、わからんことが多過ぎる城らしく、
伏見桃山城の設計に当たっては、姫路城彦根城名古屋城など、多くの名城を参考にしたそうです。
当然ながら、竹生島を始めあちこちに残る伏見城&豊臣ゆかりの遺構も、参考にしたそうですけど。


城総門には、益々 「秀吉ランド」 とでも呼びたくなる風味の堂々たる桐紋レリーフ、あり。
桐紋レリーフの向こうからチラっと見えてる伏見桃山城は、大小天守閣の連結式城郭として完成。
向かって左側に城が建ち、それから右側に遊園地 「キャッスルランド」 が展開されたのであります。
今は昔の話ですけど。それでは、 「夢の跡」 を模した 「夢」の抜け殻 、拝ませてもらいましょうか。


で、門を潜ると、バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


と、花の嵐に面食らった後、正気に戻り、引きで観た、城。


でもやっぱり望遠で寄って観た、城。


石垣へ入る為に東側へ回ると、こっちもバ━━━━━━━━━━━ン。


というか、東側へ回る道の頭上も結構、バ━━━━━━━━━━━ン。


そして石垣の中は、子供が遊び倒してる天国状態。


振り向いてもやはり、子供が遊び倒してる天国状態。


そんな天国を懐かしそうに見守る、元・遊園地 「キャッスルランド」 = 現・運動公園.


そのキャッスルランド跡に続く道もまた、かなりバ━━━━━━━━ン。


キャッスルランド跡から城を眺めると、これまたバ━━━━━━━━ン。


近くば寄って、目にもバ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


城の裏に回ると、何らかの石碑の彼方でバ━━━━━━━━━━━ン。


で、表へ戻れば、またまたバ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ン。


また何らかの石碑の横でも、さりげなくバ━━━━━━━━━━━━━ン。


バ━━━━━━━━━━━━ンのナメで、バ━━━━━━━━━━━━ン。


というわけで、 「夢」 の抜け殻に咲く夢、でありました。勢い、伝わったでしょうか。
私は、バーンバーンと爆ぜまくったので、疲れました。おまけに、犬が日陰に入るくらい、暑いし。


で、疲れたので、とっとと帰ります。今度は、ちゃんと最寄り駅の丹波橋駅へ、帰ります。
未だ花の勢いが衰えぬ門前を抜け、未だ花の勢いが衰えぬ沿道の桜にも圧倒されること、しばし。
伏見桃山の 「桃山」 は、伏見城廃城後、跡地にて桃の木が生えまくったことに由来する地名だとか。
桃と桜の違いこそあれ、とにかく花に活気のあるエリアであることが、地名にも現れてるわけです。


桜と共に、 「島津」 といった城下町地名の看板がありまくるのにも、圧倒されること、しばし。
伏見城がぶっ潰された後も、これらの地名は何百年にも亘り、したたかに生き続けてきたわけです。
いつか現・伏見桃山城がぶっ潰れても、城下町地名と花の勢いは、変わらずに生き続けるんでしょう。
とか思いながら丹波橋駅へ着くと、また凄い地名が看板に並んでて、今度はもう呆れること、しばし。

伏見桃山城の桜、花をじっくり観るというより、ピクニック風の人が非常に多く、
あちこちでボール遊びをしてたり、またギターを弾いたり将棋を指す人なんかもいたりします。
シートを拡げるのは、当然。テントを張ってる奴もいたような。何してるんでしょうね。
客層は、圧倒的に地元の家族連れがメイン。次に多いのが中高年の二人連れやグループ。
一家総出状態の家族連れも多く、多世代の家族や近所同士らしき集団の姿も、よく見かけました。
若者は、少なめ。少なくとも、25歳以下に見える人間は、かなり少なめ。カップルも、少なめ。
中国人グループがドレスを着たモデルを使って写真を撮ってた以外は、観光客も極めて少なめ。
単独は、カメの爺がほんのちょっといる程度。他の年齢層では、ほぼ見かけることも無し。
超ネイティブな客層と言えますが、そもそも流動的で雑多な人間が集まる伏見ゆえ、
身内集団の中にいるようなアウェー感は、希薄です。

そんな伏見桃山城の、桜。
好きな人と観たら、より桃山なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、桃山です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:若干
男性グループ:微
混成グループ:若干
子供:若干
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:7
単身女性:超微
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★★★★
再生産プレッシャーは強烈な客層だが、
その分、色気のプレッシャーは無いし、アウェー感も無い。
人は多いが、敷地が広いので人圧的な問題は多分無い。
というか、多少のことは桜の勢いとクオリティで吹っ飛ばされる。

【条件】
平日木曜+桜満開 12::30~14:00


伏見桃山城
京都府京都市 伏見区桃山町大蔵
拝観自由

近鉄電車 丹波橋駅下車 徒歩約16分
JR奈良線 桃山駅下車 徒歩約17分
 

伏見桃山城運動公園 – Wikipedia

伏見桃山城キャッスルランド – Wikipedia

伏見城 – Wikipedia