五山送り火の大文字を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。
五山送り火の大文字を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。
五山送り火。ござんのおくりび。間違いなく、京都の夏に於ける最大級の風物詩です。
お盆に際し現世へ帰って来た精霊 aka おしょらいさんを、再び冥界へ送る万灯籠の習俗が、
花の都で様々な影響を受け大規模化した末、闇夜にページェントを現出させるに至った、送り火。
炎で描かれた 「大文字」 「妙法」 「舟形」 「左大文字」 「鳥居形」 が街を囲むそのビジュアルは、
本来の目的たる信仰を集めると共に、 「夏の風物詩」 の枠を越え京都観光そのもののアイコン化。
ホテル屋上で酒の肴に眺める仏罰必定の輩から、五山コンプへ挑む自転車の珍走団に至るまで、
様々な阿呆に阿呆な意欲をも湧かせる巨大イベントとなっていることは、誰もが知る所でしょう。
そんな五山送り火、京都の超メジャースポットへの単独正面突破をモットーとする当サイトとしては、
本来なら絶対に見逃すわけにはいかない、何を差し置いても押さえておくべき行事ではあります。
しかし、これまで当サイトに送り火記事は、存在しませんでした。あらゆる形で、存在しませんでした。
決して、避けてたわけではありません。被災木材拒否でウンザリし、避けてたわけではありません。
逆です。ネタの採取は毎年、敢行し続けてきたのです。そして、全てに失敗し続けてきたのです。
採取を始めた2011年は、自転車による五山コンプに挑むも、嵐山へ珍走する途中で、タイムアウト。
2012年は、懲りずに自転車でコンプに挑むも、北山通の混雑で躓き、舟形の手前で貧血ダウン。
2013年は、混雑回避を考え、敢えて徒歩&公共交通機関で挑むも、妙法を過ぎた辺で早速、アウト。
2014年は、発狂して全徒歩コンプに挑むも、大文字以外全アウト。と、失敗し続けてきたのです。
そして、各山の点火時間が繰り上がった2015年、私は流石に考えました。コンプはもう、止めようと。
むしろ、1年に1山ずつ回る方がまだ、いいかも。その方が、うちには、合うかも。そうだ、そうしよう。
というわけで当サイトは、五山送り火を5年かけてコンプする5ヵ年計画の発動を、ここに宣言します。
計画発動期間中、彼女が出来てサイト更新を辞めたり、または私が死んだりするかも知れませんし、
外出の面倒さから年数が6ヵ年とか8ヵ年とかに化ける可能性もありますが、とにかく宣言します。
で、記念すべき5ヵ年計画初年度のターゲットは無論、大文字。東山・如意ヶ嶽に浮かぶ、大文字。
「大文字焼き」 なる呼称さえ生んだ、五山送り火にとってキービジュアル的な存在の山です。
この大文字を、出町から北大路までの大混雑する加茂川西岸から、拝んでみました。
大文字山があるのは、銀閣寺の東側。ビュースポットは概ね、その北西に展開されます。
具体的には、出町周辺から北にかけての加茂川西岸。あと、建物類を無視できるなら、京大近辺。
いずれにせよ京阪・出町柳駅が最寄駅となり、駅出口には御覧の様に 「大文字」 札がぶらさがり中。
19時過ぎの出町柳駅は、大文字目当ての客、多し。駅員が多めに配置され、誘導もやってました。
駅を出た先のファミマでは、ビール&焼き鳥販売中。あ、でもこの写真、2014年のものです。
点火トップの大文字は、失敗年も常に確保。故に正直、飽きてるんですよね。知るかって話ですが。
とにかくその飽きで、2015年は写真が今イチ。失敗年から雰囲気を捉えたものを引っ張ってきました。
因みに、ビール&焼き鳥販売光景は、2015年もしっかり健在。というか、毎年大体こんな感じです。
で、川端通の今出川以北は、通行止め。ここからも大文字は見えるので、道は人でいっぱい。
因みにこれは、2013年の写真。で、毎年大体こんな感じです。なので後は、手抜き羅列で御勘弁。
「立ち止まらないで下さい。大変混雑しています」 と橋から響く警察の声を聞きながら、
ビュースポットの西岸へ行こうと賀茂大橋前の亀の子石を渡る人民を眺める、2013年の図。
やはり 「立ち止まらないで下さい」 とエンドレスで響き渡る警察の声を聞きながら、
出町橋袂の土手へ集まる大量の人民と、そこへ向かう大量の人民を眺める、2014年の図。
私も加茂川へ向かうので、歩行者専用+左側通行に規制された大混雑の河合橋を、
欄干に座り込む輩が放出する汗が醗酵した異臭を食らいながら黙々と歩く、2014年の図。
警察が 「もう入れない、入るな」 と進入を禁止してるものの、橋の上から眺めると、
混雑ぶり&汗の臭気の充満ぶりが凄まじく、 「誰が入るか」 と思った、2013年の出町の土手。
「誰が入るか」 と思うのは案外少数派の様で、多湿+外人腋で臭気が爆裂する中、
それでも何とか土手へ入ろうとして出町橋の袂で完全にスタックしてた、2014年の見物難民。
葵橋周辺を抜けて加茂川の堤防道 = 加茂街道へ入ると、混雑は一気に減り、
「ここから先、売店ないです」 とビールを売るファミマをスルーして、2014年の歩くこと、しばし。
臭気が充満するような混雑はなくなるものの、見物人が全然いないということもなく、
ところどころに家族連れなどを見かける程度になるのを眺めながら、2014年の歩くこと、しばし。
「大文字と舟形の両方が見れる場所が、この辺にあると聞いたんですが」 と、
河川敷で尋ねてる老夫婦がいて、そんな所あるのかとか思いながら、2013年の歩くこと、しばし。
お待たせしました、ここから2015年の写真が登場。何せ、2015年の記事ですしね (狂) 。
こちらは、周囲がさほど混んでないにも関わらず、流石に人間で埋まってた、2015年の出雲橋。
出雲橋の辺りから北上するごとに、加茂街道に屯する見物人の数はどんどん増加、
北大路通&地下鉄駅に近いこの辺は当然大混雑となっていた、2015年の北大路橋・西詰。
何故かまた蔵出し写真へ戻り、 「途中で立ち止まらないで下さい」 の警察声が響く中、
北大路橋の欄干では大量の人民が平気で立ち止まって、点火を待ってたりする、2013年の図。
そしてまたまた2015年へ戻り、混んでるけど密集という程ではない北大路の河川敷で、
木の隙間から覗く大文字を目当てに集まった多くの人が、点火を待ってたりする、2015年の図。
そうこうする内に時刻は、20時。送り火、点火が始まりました。東南にうっすらと、 「大」 。
移動はもう面倒なので、この辺で拝むことします。あ、ここからの写真は全部、2015年のですよ。
で、しばらくの後、完全に出来上がった、 「大」 。あとは、見るのみ。
北大路からは肉眼でもはっきりと見え、余裕で写真も撮れる、 「大」 。
暗くてよくわかりませんが、阿呆な自撮りに挑む輩も多発してる、 「大」 。
肉眼で見えるくらいだから、望遠をかけるとすぐ大きくなる、 「大」 。
完成してしばらくすると、帰る or 他の文字への移動も始まる、 「大」 。
河川敷で眺める光景は、まるで江戸期の絵の様にも見える、 「大」 。
10分以上経過し、少しだけ火勢が弱まり始めた様に見える、 「大」 。
15分程経つと帰る人が増えるものの、橋から見る人は減らない、 「大」 。
橋の袂に集められた供物と共に、真摯な祈りも捧げられる、 「大」 。
そして20:20、火勢が少しずつ衰えて、ゆっくりと暗闇の中へと溶け始めた、 「大」 。
やがてライト or 携帯の光らしきものが火より目立つようになり、ぼちぼち終了でございます。
で、20時半頃には大文字、完全に消灯。なので、大量の見物人と一緒に、私も帰ります。
「もう、終わりか。山とか、細かく見たりしないのか」 とか思われるかも知れませんが、しませんよ。
山へ近寄る阿呆は、保存会には迷惑なんですよ。なので、周辺の馬鹿騒ぎばっかり追ったんですよ。
敢えての措置です。銀閣寺まで行くのが面倒なのでも、護摩木の金が惜しいのでも、ありません。
また、馬鹿騒ぎにも何らかの本質はあるんですよ。別段、今に始まった騒ぎでもないらしいし。
寛文2年 『案内者』 の送り火記述曰く、 「月出る比に成れば、川ばたに並居て酒飲み歌うたふ」 と。
巨大なスケールで火が燃えれば、時と場所を問わず盛り上がるのが、人の常というものなんでしょう。
そんなことを思いながら通った葵橋東詰は、本質的な馬鹿騒ぎの為の交通規制により、大混雑中。
馬鹿騒ぎ&観光妄想&冷やかし&真の信仰が常にフィードバックし合ってる京都の特性を、
やはり京都の特性たる暑気、汗を醗酵させる暑気と共にフルボリュームで爆発させる、五山送り火。
中でも最もメジャーな存在感を誇る大文字は、しっかり最大級のフィードバックが渦巻いておりました。
そんなことを思いながら通った河合橋は、馬鹿騒ぎの為の交通規制が解除され、歩道が大混雑中。
『Metal Machine Music』 を聴かされてるような拷問気分で、団子状態の歩行をしばし続け、
何とか出町柳駅に着いたものの、駅舎以外の入口は御覧の様に封鎖され、泣きそうになったの図。
また団子状態で駅舎へ行き、団子状態で地下へ降り、外人が殺到してる臨時券売所を横目に、乗車。
冷房の効きが弱い京阪、この時ばかりは天国に思えましたとさ。送り火5ヵ年計画、ではまた来年。
大文字の見物客の客層は、基本的には烏合の衆です。
観光客と地元の比率は、歩いた範囲全体の感じでは4:6 or 3:7くらいでしょうか。
北大路周辺に関しては地元系がもっと増え、3:7 or 2:8くらいの感じだったと思います。
カップルは、無論それなりに多し。ただ、それ以外の層も多いので、プレッシャーはさほどなし。
カップルのプレッシャーは、むしろ京阪車内の方が高し。あと、妙なくらい外人のカップルが多し。
女性グループは、学生風。混成グループは、外人と学生風。もちろん、いずれも阿呆です。
が、こちらも混雑のデスゾーンへわざわざ特攻しない限り、避けるのは比較的楽ではないかと。
中高年は、家から歩いて来たような地元の家族連れと身内系が、8割。残りは、観光系と移住系。
観光客は、遠来系もいますが、祇園祭・宵山と同様に電車で来たらしき近隣系もかなりいます。
単独は、若い変人が少しいる程度。カメは、しかるべきポジションで固定状態の為、目立ちません。
女は、ゼロとは言いませんが、地元系の妙齢系がいる程度で、極めて少ないです。
そんな五山送り火の、大文字。
好きな人と拝めば、よりおしょらいさんなんでしょう。
でも、ひとりで拝んでも、おしょらいさんです。
【客層】 (客層表記について) カップル:1 女性グループ:1 男性グループ:1 混成グループ:1 子供:0 中高年夫婦:1 中高年女性グループ:若干 中高年団体 or グループ:4 単身女性:超微 単身男性:若干 |
【ひとりに向いてる度】 【条件】 |
五山の送り火
毎年8月16日 開催
東山・如意ヶ嶽 大文字
8月16日 20時より点火
出町柳から加茂川をうろつけば、きっと見える
五山送り火 – 京都五山送り火連合会
五山送り火 – 京都市観光協会
京都五山送り火 – 京都新聞
五山送り火 – Wikipedia