祇園祭・前祭の宵山へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2016年7月16日(土)


祇園祭・前祭の宵山へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

海がない街・京都に、忽然と海が現われる夜。それが、祇園祭の16日の宵山です。
海水の代わりに街中を流れるのは、人間。いや、より呼称のニュアンスにこだわるなら、人肉。
36度前後のじっとりした温度を持つ肉塊が、山鉾巡行&神輿巡幸の前夜に群れ集って肉海を生み、
その海に迷い込んだ者は、肉の潮目を読みながら泳ぐかの如き地獄を、味合わされるわけです。
また、肉温と気温がほぼ同温となる為、空気まで肉と化すように感じる無駄なまったり感が醸成され、
まるで湯の代わりに人間を張った肉風呂へ沈められるかの如き地獄も、味合わされるわけです。
恐ろしいのであります。京都最大級の動員を誇る行事@狭い街中 in 真夏。恐ろしいのであります。
「う回せよ」 というアラートを出されたら、素直にトンズラしたくなるくらい、恐ろしいのであります。
「京都の超メジャースポットへの単独正面突破」 を本義とする当サイトとしては、この恐るべき宵山、
その恐ろしさゆえに絶対避けられぬ行事と考え、ネタ採取を始めて早々に、特攻を決行しました
が、それ以来、出かけていません。17日の山鉾巡行には何度か行ってますが、出かけていません。
何故か。恐ろし過ぎたからです。地獄が、地獄過ぎたからです。肉が、肉過ぎたからです。
サイトの本義より健康が大事と判断し、人道的措置として長きに亘り 「う回」 を続けてきたのでした。
しかし、宵山のメジャーさ加減を改めて考えると、ずっと避け続けるというのも、ちょっと考えもの。
それに、2014年の後祭復活によって、16日 = 前祭の宵山も、多少は混雑が分散・緩和されたはず。
「近畿一円の阿呆な若者やDQNが大集結」 という古典的な馬鹿騒ぎも、多少は失速したはず。
いくら何でも、学ぶだろ。情報端末が普及して、阿呆な万能感まで普及する昨今だから、学ぶだろ。
再生産がこれだけ大変な御時世に、阿呆だけが無限&無尽に再生産され続けるわけ、ないだろ。
だから多分、大丈夫。みんな同じ人間なんだから、きっと分かり合えるよ。肉とか言っちゃ、駄目だよ。
と考え、今回、5年振り& 「前祭の宵山」 に戻ってからは初めて、16日の宵山へ行ってみました。
のみならず、山鉾の分散&客減少を見込み、前回は日和った山鉾町特攻+山鉾コンプにもトライ。
レッドアラートの先へ臆することなく突き進み、 「山鉾町の宵山」 の全てを観に行ったわけです。
時は奇しくも、土曜。果たして私は、肉海を無事に泳ぎ切ることが出来るでしょうか。


で、宵山当日18:30、まだ陸が見えてる鴨川・四条大橋から山鉾町へ向かい、肉泳ぎを開始。
既に歩行者天国な四条通、鴨川の周辺は結構ドライですが、この逆側 = 八坂神社側はかなり、肉。
近隣から阿呆やDQNをかき集める京阪・四条駅も、肉電車+肉改札+肉出口+肉階段となってます。
しかし、歩けないことはありません。この辺、相変わらず国籍を問わず外人が多くて、面白いですね。


などと余裕な気分で四条通を西進してたら、途端に眼前へ現われた、肉海。


早くも肉海に浸かってると、ドローン禁止の看板の彼方に見え始めた、山鉾。


近付くほど混雑が激化し、時速1km程度で肉海を牛泳しながら見た、長刀鉾


で、避難したらやっぱり肉海&車海な東洞院通で、その彼方に見た、保昌山


東洞院通から仏光寺通へ入り、西進して山鉾町へ向かう途中、肉地獄の烏丸通を望む。


本格的にコンプを始めるべく山鉾町の室町通へ入り、肉海の波間から白楽天山を望む。


露店だらけの室町通を、肉海の波に流されるままに北上しながら、彼方に鶏鉾を望む。


で、棒振で激混みの綾傘鉾へ流され、他人の肉温を直接感じ続ける地獄へ溺れること、しばし。


新町通へ流され、肉海に浮かぶ船鉾が拝観1時間待ちの混雑になってる様を拝むこと、しばし。


露店だらけの新町通をさらに南へ流され、肉海とべっ甲飴の彼方の岩戸山を見ること、しばし。


何とか海を抜けて西進し、妙に空いてる西洞院通で、やっと酸素を吸入するの図。


で、西洞院通以西は多少空いてたので、多少人間の気持ちで伯牙山を拝むの図。


肉が多少減るのは露店が出てないからかな、とか思いながら、芦刈山も拝むの図。


粽を売り込む子供の声&蝋燭を使った提灯が、良い味を出してた、油天神山


明日の山鉾巡行で山を舁く同志社のグリークラブが、何か歌ってた、太子山


で、空いてて良い味が出てるけど、その分、写真を撮る肉が多い、木賊山


という感じで、山鉾の約半分を見終わりました。四条通の歩行者天国西端付近にて、少し休憩。
西洞院通でもそうでしたが、肉間距離を充分確保出来る大通りへ出ると、一気に肌へ風を感じます。
この日、実は涼しい日だったんですよね。もちろん、肉海の中ではそんな涼しさ、全く感じられません。
時刻は、21時前。22時頃には終了する山も出て来るので、コンプの為にもう一泳ぎ、頑張りますか。


と思い、彼方の肉海を望遠で視察してみました。肉海、絶好調で肉風呂状態です。沸いてます。
絶対、行きたくない。絶対、浸かりたくない。絶対、沈みたくない。帰りたい。ただひたすら、帰りたい。
もう、この絵一発で、四条傘鉾・郭巨山・函谷鉾・月鉾はクリアでいいんじゃかいか。そう、思いました。
が、そうすると今までの苦労が無駄になるので、気合を入れ直し、酸素も吸い貯めし、今度は東へ。


で、進む度に肉度が増す四条通を東進して見た、囃子披露中の四条傘鉾


肉度がまだ若干マシな西洞院通で見た、蟷螂が謎の演舞披露中の蟷螂山


歩道までもが肉海化してる四条通で見た、やたら御神籤を推してる郭巨山


車道も当然どっぷりと肉海化してる四条通で、その肉海の底から月鉾を拝むの図。


で、交通規制が生む肉海の波にまた流されて、肉海の底から菊水鉾を拝むの図。


規制が生む肉海の波に流され続け、何故か猫耳を押してた霰天神山も拝むの図。


露店だらけの新町通を肉海の波に流されるまま南下し、その彼方に放下鉾を見ること、しばし。


四条通へ出て前を通った瞬間、囃子終了+提灯をドサッと落とした函谷鉾を見ること、しばし。


で、ぼちぼち終了タイムに入ったと思って焦り、肉地獄も厭わず烏丸通を北上すること、しばし。


烏丸通の肉大河を遡上する途中、露店の切れ目が作るドライゾーンから孟宗山を望む。


肉海の波に流されるまま室町通へ回り込み、茅の輪に行列が出来てる山伏山を望む。


そして綾小路通へ回り、遂にコンプ達成ながらも疲労で無感動のまま、占出山を望む。


で、無感動のまま、即座に帰るべく飛び込んだ、肉肉肉肉肉肉肉肉な烏丸通。


どこをどう見ても、肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉な、烏丸通。


肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉な、四条烏丸交差点。


肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉な中を駆け抜ける、日和神楽。


で、肉海の中に立つ、提灯を降ろした長刀鉾。疲れた。疲れたと感じるのも疲れる位、疲れた。
日和神楽をチラ見しながら帰路へ着くと、22:40頃から警察が 「歩行者天国を解除します」 と連呼。
車が流れ始めた四条通を〆の絵にしたら記事が上手くまとまると思い、しばらく解除を待ちましたが、
23時を過ぎても延々と 「間もなく解除します」 とばかり連呼し続けてたので、諦めて帰りましたとさ。

客層は、当然のように若年層が圧倒的に多いですが、
そもそもの数が絶望的に多い為、基本、細かいことは全然分からんという感じです。
「若者寄りな烏合の衆が生み出す肉の海に溺れる」 とか言いようのない状態になってます。
カップルは、無論、多し。学生風より、近隣の若年層が多し。観光客風カップルも、少め。
というより、近隣風が多過ぎ。観光ハイは希薄ながらも、恋愛ハイ&祭ハイは無制限状態という。
他の層も、全体的に近隣系が多し。この手の連中は、色ボケこそないものの、祭ボケは過大。
男グループがかなり多めで、属性問わず半分以上がDQNか、DQN崩れか、DQN予備軍。
混雑の中で、平気で後からぶつかってくる奴や、体を平気で密着させる奴は、ウジャウジャいます。
遠来系の観光客は、どの層でも意外と見かけません。いくら何でも学んだ、ということでしょうか。
というか、とにかく近隣系がそれだけ多く、中国人の存在さえ全体の中では霞み気味です。
単独は、男女とも極めて少なく、その姿は完全に肉海の底へ沈んでました。

そんな祇園祭の宵山。
好きな人といえば、より祇園会なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、祇園会です。

祇園祭の宵山へ行ってきました。もちろん、ひとりで。 (2011)
祇園祭・後祭の宵山へ行ってきました。もちろん、ひとりで。 (2015)

【客層】 (客層表記について)
カップル:3
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:2
子供:微
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:若干
中高年団体 or グループ:1
単身女性:激微
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】

地獄。あらゆる意味において、地獄。
全方位的なプレッシャーに加えて、逃げ場のない人圧。
交通規制で奪われる交通の自由と、どこにいても感じる暑さ。
地獄としか言いようがない。基本、行かないことを薦める。
どうしても行く人は、気力・体力を蓄え、修行と思って行くべし。

【条件】
土曜 18:40~23:10


宵山
7月16日 夕方から

市営地下鉄四条駅 or 烏丸御池駅
あるいは阪急烏丸駅下車
人が多いほうへ流されていけば、
そのうち辿り着く。
 

祇園祭 – 祇園祭山鉾連合会 公式

山鉾案内図 – 京都新聞