平安神宮へ京都薪能を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2019年6月1日(土)


平安神宮へ京都薪能を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

平安神宮には、普段は有料の神苑に無料で入れる日が、年に2日設定されてきました。
ひとつは、6月の4日頃。もうひとつは、9月の17日頃。共に、神苑の入苑料がタダになるわけです。
タダになる理由は、言うまでもないでしょう。6月も、9月も、観光客が少なくなるシーズンだから。
6月は、行事があまりなくて、蒸し暑いだけの季節。9月も、行事があまりなくて、蒸し暑いだけの季節。
通振りたい観光客に青もみじを押し売りしても、生理的苦痛を忘れさせるまでには至らないのか、
あるいはやはり単に雨が多いからなのか、とにかく今ひとつ盛り上がりに欠ける時期ではあります。
ので、タダ日があると。修学旅行生が6月に多いのも、その辺の事情が関係してるんでしょうか。
では、毎年6月に行われる薪能が、タダ日と同じ目的で始まったのかといえば、それはわかりません。
元ネタたる奈良・興福寺薪能と同じく、宗教的理由とかを持つ可能性も、充分あるとは思います。
が、地味な6月の京都にて最大の規模を誇る催事となってるのは、紛れもない事実ではあるでしょう。
薪能。正式名称、京都薪能。昭和25年より開始された、平安神宮にて開催される能公演です。
だだっ広い境内に特設舞台と客席を設け、日暮れ頃から薪を焚きながら展開されるのが、この公演。
1日&2日に開くことで梅雨の雨を避け、また雨天でも隣の京都会館が会場化出来ることがあって、
祇園祭がまだまだ遠い6月に彩を添える催事としてすっかり定着し、現在に至るまで継続されてます。
つまりこの薪能、明らかに大メジャーな行事です。が、当サイトでは今までスルーしてきました。
理由は、私が能に興味がないから。加えて、興味がない者にはチケットが高価過ぎると思えるから。
無論、興味がなくてもメジャー案件であれば、うちでは特攻をやってきました。をどりや、川床とか。
でも、少なくともをどりには、舞妓さんがいる。川床では、料理が食える。でも薪能には、どっちもない。
あるのは、眠い声と鼓の音。あとは、普段よく行く岡崎の雑音。行く気、しません。避けてました。
が、当サイトの趣旨はあくまでメジャーどころの単独特攻。これ以上、逃げることは許されません。
ので、行ってきました。高い金払って興味のないものを、夜どころか昼から観てきました。


いや、実際は昼どころか2日前から行きました、平安神宮。ではなくて、その傍にある京都会館
飛び込み特攻が信条の当サイトですが、幾らか安い前売券には勝てません。ので、買いに来ました。
先述通り、此処は雨天時の薪能会場で、券も販売。いわば、雨天時の下見も兼ねて来たわけですね。
断じて、本当は向かいの観世会館で買おうとしたら閉まってたので、こっちに来たのではありません。


で、購入。中で普通に買えました。価格、4000円。高い。能公演としては安いけど、私には高い。
券、雨天時はこっちのメインホールで上演と明記してます。あと、鑑賞に向けたレクチャー代も込み。
レクチャーは、会期の1日・2日昼に此処で開催。押さえた会場を、有効活用するという感じでしょうか。
あ、券は此処の他にも、先述の観世会館などでも販売。他の能楽堂とかでも買えるみたいですよ。


まるでこっちが会場の如き勢いで薪能ポスターを貼ってた、京都会館 aka ロームシアター京都
それも道理、祇園会館 aka よしもと祇園花月が祇園をどりを本来の目的として建設されたのと同様、
此処も薪能の雨天時開催を真の目的として公演開始の10年後に建設されました、というのは嘘です。
いや、1960年に出来たのも薪能の客を収容出来るのも、本当ですけど。当日の天気、大丈夫かな。


で、当日、嘘を言わない素行が神に認められたのか、よく晴れました。ので、昼頃から岡崎へ。
無料レクチャーを観るわけですが、開始までちょい間があるので、平安神宮にもお参りしときます。


能に絡んだ混雑を全然感じない応天門を潜ると、境内では能の仮設会場がしっかり完成気味。
本殿前スペースの半分だけを使う感じで、割と小ぢんまりしてます。作りの感じも、至って仮設風。


席も、基本は地べたに板とパイプ椅子。ただし最後方の応天門裏エリアは、スロープ付きです。
もし空いてたらこの辺で観ようかな、とか思いながら雨が降らないようお祈りしたら、京都会館へ。


で、また来ました、京都会館。こうして見ると此処、何かインデペンデンス・デイみたいですね。
今日は多分、此処で能を観る可能性はなさそうです。右の階段から、メインホールへ向かいます。


おこしやすモニタに迎えられ、メインホールへ。2005人収容可能という会場は、9割以上の入り。
舞台上も、モニタに映ってる通り、能舞台を仮設済み。雨が降れば、すぐ切り替えられる感じです。


その舞台を使って行われるレクチャーは、演目の解説とかはなくて、体験メインの能トレ状態。
狂言のわーはっはっをやったりして。帰りの入口脇では、薪能の当日券やDVDを販売してました。


で、レクチャー終了後はこれまた近くにある京都府立図書館にて今日の演目の予習に励み、
『石橋』 はどの能の本にも出てたので内容が把握出来たけど、 『草子洗』 『福部神』 はやや難航し、
改元記念という 『平安』 に至っては何もわからないことがわかった頃、開場時間の17時になりました。
で、そのまま平安神宮前へ。開場したばかりのはずの応天門の前、何だか人が大量に並んでます。


いや、人が並んでるのは基本、御覧のようにチケットもぎり用にゲートを狭くしてるからですけど。
ただ人数自体も、中々に中々。当日券を買う客は少なめで、ほとんどは前売券を持ってる感じです。
自由席ゆえ、皆さん良い席を押さえようとしてるように見えます。ので、暑苦しいので、しばし待ちます。
で、人が減ってきた頃、入門。パンフレットを売る学生の横を通り、普通に前売券をもぎられ、中へ。


中に入ると、開場から大して時間が経ってないにも関わらず、客席はもうかなり埋まってます。
まだ満席ではないものの、客は後から後から入場しており、充分埋まりそうです。人気ですね、薪能。
狙ってた最後方の応天門裏も、埋まり気味。ただ最後方の最後方は、空きがありました。ので、着席。
でもまだ陽が残ってて、その熱線が死ぬほど暑い。ので、日陰の西側で席を見つけ、そっちに着席。


座って待ってると、上演中撮影ダメの件や通常拝観客さっさと外に出ろの件などのアナウンスあり。
あとパンフレット買えパンフレット買えパンフレット買えパンフレット買えとも言うので、買ってみました。
『平安』 の解説を期待したんですが、結局は何かよくわからず。載ってる座談会も、何故か再掲もの。
何より、買った後でもパンフレット買えパンフレット買えパンフレット買えと延々言われるのが、辛い。


とか思ってる内にも客はどんどん入り、ほぼ満員状態になった18時、京都薪能、開演。


舞台は、昼と同じく、仮設全開。周囲のリアル松と背後の本殿は映えますが、仮設全開。


音は、生音とマイクのミックスらしくて、声量や状況に合わせてバランスを変えてる感じ。


周囲から聞こえる雑音は、当然、多し。救急車の音とかが響いて来ることも、当然、多し。


で、1曲目が終わったら、火入れ式なるものが行われます。文字通り、薪に点火するというもの。
これが、凄く長い。その後の市長の挨拶も、凄く長い。その後の能楽会何ちゃら表彰も、凄く長い。


長い何ちゃらが終わると、2曲目。陽はこの頃から本格的に暮れ始めて、急に冷えてきました。
じっと座ってるので、余計に冷えるというか。ただその分、薪は何か良い雰囲気に見えたりします。


で、2曲目が終わると、客席では上着を着る人が続出。早退する人も、ポツポツといるようです。
もっとも、この時点ではまだ入場者も多く、ゲート近くでは立ち見連中が上演中もくっちゃべってたり。
私の傍にも煩い連中が来たので、避難。暑くて先刻脱出した応天門裏の辺に、運良く潜り込めました。
が、最後方だけあって、舞台は遠過ぎ状態。何かよくわからない能が、さらに何かよくわかりません。


何かよくわからんまま3曲目の狂言が始まりますが、やっぱり内容は何かよくわかりません。
狂言の途中では、早退者も割と多し。で、帰った客の席に、くっちゃべってた輩が座っていきます。


狂言が終わると、先刻以上の勢いで上着を着る客が続出。実際、暑がりな私でも、完全に寒い。
開演前の日照りの暑さが、今となっては懐かしいです。薪の火に、暖を取る実用性さえ感じるくらい。
早退者もさらに続出。早退者が残した席へ向かう立ち見客も多いですが、それ以上に早退者が続出。
各曲の演者捌け中から商売してたパンフ売りも、 「お帰りの前に」 とか言ってパンフを売ってます。


で、先刻より余裕で座れた応天門裏で最終曲を観るも、やっぱり何かよくわかりません。


で、結局何もよくわからんまま、公演は終了。終了直後の会場は、薪の撮影大会な感じ。


舞台の写真を撮る人も、多し。あと、よく燃える薪を求めて舞台前を徘徊する人も、多し。


私も、4000円分の何かを求めて徘徊してると、客はすっかり捌けてました。いい加減、帰ります。
会場では、此処と京都駅かどっかを結ぶシャトルバスを乗れ乗れ乗れ乗れ乗れ乗れと宣伝しまくり。
おけいはんの民である私は三条京阪まで歩きますが、他の人は地下鉄か路線バスかに散るようです。
タクシーが大量に待ってたら笑ったんですが、そんなこともなし。早退者が全部乗ったんでしょうか。

京都薪能、この日の客層は、中高年寄りの烏合の衆という感じ。
中高年しかいないだろと予想し、実際に入場が開始された頃はそんな客筋でしたが、
時間が経つに連れて、もう少し若い人の姿も見かけるようになりました。
後ろの方が立ち見してる連中は、特にそんな感じの人が多い感じ。
全体としてはあくまで中高年寄りでありますが、幅はもう少し広いと思います。
が、本当に単なる烏合の衆とも違って、 「京都市民」 的な雰囲気があるというか。
移住系や外人も全部含めて 「京都市民」 的な感じが、良くも悪くも漂ってるように感じました。
和服女性は当然多いですが、紅しだれコンサートの時みたいなガチ感は何故か希薄で、
観光丸出し系か、あるいは調子に乗ったなんちゃって系みたいなのが多い感じ。
単独は、性別年齢問わず単にひとりで観に来た人であり、やはり中高年が多めです。

そんな平安神宮での、京都薪能。
好きな人と観たら、より梅雨前なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、梅雨前です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:若干
子供:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:3
中高年団体 or グループ:3
単身女性:微
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★
薪が醸し出す雰囲気は、割と良い。
能も、わけがわからなくても雰囲気的には、割と良い。
ただ、その雰囲気を雰囲気良く楽しめるかどうかは、客次第。
早退せずに見通すなら、体温調整の準備が必要だと思う。

【条件】
土曜 17:00~21:00


 
 
 
 
京都薪能
毎年6月1日・2日 平安神宮にて開催

京都能楽会 京都薪能 – 公式
 

平安神宮
京都府京都市左京区岡崎西天王町97

市営地下鉄東山駅下車 徒歩10分
京阪神宮丸太町 or 三条下車 徒歩15分
市バス京都会館美術館前 下車すぐ

平安神宮 – 公式